地道な取り組みで奇跡を起こした

ネット通販のマーケットが15兆円規模(2016年)まで拡大した。このまま行けば地方の小売店はネット通販に押し潰されてしまいそうな勢いだ。
最近は特にスマホからのアクセスが増加しているという。これがネット通販市場の拡大に拍車をかけている。
ここ10年の間にITの進展でネット通販はリアル店舗に取って代る事になりそうだ。

誰もがネット通販を目指すが…

ここ数十年間地場の物販新会社の事業目的を見ると、最後の方に必ずインターネットに拠る物販業が入っている。ネット通販分野に入って立派なホームページを
数百万円かけて制作しても、それだけの効果があるのだろうかー。それこそ全日本でのネットの競争激化の中で、どうやって存在感を示すのかー埋没してしまうのが関の山ではないのか。
つまり、事業目的の最後の方に「ネット通販」とうたっても、それこそ絵に描いた餅に終わっているケースが多いと思う。
言ってみればそれだけネット通販は難しいのである。
しかし、ネット通販に2007年から挑戦し続けた地場の「澤井珈琲」(境港市)は、ネットショップだけでこの17年間で20億円企業まで成長したのである。

徹底してのめり込む

著者の澤井理憲(まさのり)氏は、「奇跡の澤井珈琲」の中で、ネット通販年商20億円にもって行く苦労の連続をユーモアたっぷりに書き綴っている。
30万円で楽天市場に出店してからはヤフージャパンショッピング、ポンパレ、Wowma(旧De NAショッピング)に、次々出店。ただ大手ネット通販はアマゾンのように運営企業が商品を直接仕入れて販売するサービスと、
楽天市場のように仮想商店街(モール)に出店企業を募ってネット通販する、2種類のタイプがある。澤井珈琲は5つのネット通販に取り組んでいる。

ネット通販成功の秘訣

①メルマガの活用=メルマガ購読者リストはリピーターの獲得のための必須ツール。
②リピート率と転換率=消耗品を扱うジョップは月ごとのリピート率が重要になる。〔「その月のリピート客数」÷「オープンからの総顧客数」×100=リピート率〕。
転換率は「ネットショップのアクセスに対して、商品が売れる確率」の事で購買率ともいう。ターゲットを明確にし、利用しやすい画面にして、購入率を上げる。
③ネット商品の検索で、上の方にくるためには=よくある質問だが、楽天市場だけでもコーヒー類は80万商品あるが、その中で成功しているのは広告を出しているところが多い。
澤井珈琲では利益の6、7割を広告費に充てている。
④失敗を恐れない。
⑤売れないのを商材のせいにしない。
⑥ターゲットを明確にし、見つけていただきやすいレイアウトにする=澤井珈琲のメインターゲット層は女性のお客様。それを意識して商品の品揃え、メルマガなどのメインビジュアル全体の色使いを決める。
⑦トップページでアクセスユーザーの注意を引く。
㉀お得感を徹底的に演出、安心して買っていただけるようにする、お得に感じる価格設定やもらえるポイントのメリットをしっかり告知する。
さらに送料、包装代金、配達日、キャンセル料の発生など細かく書くことでお客様が安心して購入できるようにする。
⑧できる限り様々な決済方法を使える方がお客様に喜ばれる。コンビニ決済など、ライフスタイルに合った決済ができるようにする。
⑨ネットでお客様に見つけていただく工夫をする=「コーヒー」だけの検索では様々なコーヒーがヒットするので「美味しい珈琲豆」を探すお客様に絞った。

追う立場から追われる立場

澤井珈琲のEC受賞歴は2016年度だけで12冠にものぼる。家業から企業へと変貌し、東京には10店舗の出店を計画している。
リアル店舗9店舗に3工場、約160人のスタッフで、EC販売が約68%(20億円)の比率になっている