米子のポテンシャル、実行の時

米子市長は、伊木隆司氏の圧勝で終った。組織力の強さを改めて見せつけさせられた市長選だった。

数々の公約、市民夢を託す

当選した伊木氏は「後援会のしおり」で、「遊びやスポーツ、イベントの振興を図り日常に楽しさがあふれる街を目指す(「住んで楽しい」)として、「街のど真中に緑あふれる公園があり、 市民が憩う場があれば」と夢を語っている。また新しいビジネスに挑戦しやすい制度の構築(ベンチャー企業の創出)、JR米子駅の南北一体化事業の仕上げなどで、米子のポテンシャルを 大きく引き出すためのインフラ整備。さらには耕作放棄地対策による農業振興にも力を入れる(「商売繁盛」)。
その他には高齢化社会を意識して「医療や福祉の充実」「公共交通の利便性の向上」(「弱者にやさしい」)による街づくりや近隣の市町村、国・県との連携強化の推進、 特に観光業の発展については「地域の魅力を掘り起こす」(「広域連携」)などを、公約として掲げている。

山川候補に〝引きずられた〟?

しかし、告示から投票までの8日間の選挙活動で、十分に公約が市民に伝わったのだろうか。
今度の市長選を振り返ってみると、政策の論争点が2万625票で次点となった山川智帆氏の主張に、伊木氏が〝振り回された〟感がある。典型的な例では「JR米子駅南北一体化」や 「市庁舎の移転」、「鳥大医学部の扱い」など、何といっても山川氏は折り込みチラシで広く政策を訴えるため、市民はどうしてもそちらの方に関心が向き、 「JR米子駅問題」が最大の争点になってしまった、と言えよう。
仮に福住英行氏の出馬がなければ5千票程度は山川氏に流れた可能性がある。
伊木陣営もこうしたことで危機感をもったのか、これからの伊木新米子市長への支援続行を訴え続けた。

地についた市政の実践を

これからスタートする新市長への期待は、様々ある政策課題を長・短に分け早く取り組むものは早く、しっかり市民の声を聞く事案は長期的に取り組むことが重要だろう。
「JR米子駅南北一体化事業」は、事業費の60億円が一人歩きし、市にとって財政負担というのは過大評価で、実際の負担はマックスで約11億円である。
もう一つ大きな事案は鳥大医学部への対応だ。300億円の経済波及効果があるとされる鳥大医学部・附属病院の拡大について、これまで幾度となく場所の確保が課題になってきた。
一時期は、湖山キャンパスに〝全面移設〟などという噂もまことしやかに流れ、経済界が震撼したことがある。それだけ米子にとっては重要な経済資産なのだ。
拡大について、湊山球場跡地を鳥大医学部に「提供すべき」としていたのが山川氏だが、伊木氏は「これから先、医学部側と十分に話し合うことが重要」として慎重な姿勢だ。
一方で米子市は、市営湊山球場は「米子城跡として国史跡の追加指定にする」として保存計画を進めている。
JR米子駅前周辺は最近の観光ブームで年間60万人が宿泊する。駅前広場や南側を含めた機能的な駅が必要になる。
鳥大医学部・附属病院も「医都米子」の顔として重要な位置づけにある。40億円のガンセンターの設置が昨年、松江市に決まったが、場所の可否が問われたかも知れない。
伊木新米子市長には、米子のポテンシャルを最大限に生かし夢のある米子市の創造に向けて公約を実践して欲しいと思う。