片山善博元鳥取県知事 (1999年ー07年)が自ら実践してきた地方自治の在り方を説いたのがこの本だ。片山さんは知事を引退した後、慶応義塾大学教授として、また政治番組のコメンテーターとして、周知のごとく活躍している。

特に印象に残っているのは知事就任時に「議会は学芸会だ」と言い放って議会を痛烈に批判。直接民主制の議会の活性化を促した。

少し横道にそれるが、これとよく似た現象が東京都で起こっている。小池都知事の「情報公開」政治だ。

これまで伏魔殿とされていた都議会の既得権益の闇を白日のもとにさらけ出そうとしている。片山さんは8年前の知事就任時に、「情報公開制度」を導入し、議会議員と執行部との透明化を促進した。小池都知事の政治手法は「劇場型」などとやゆされるが、8年前の片山知事はこれの〝走り〟だったのである。

本題に戻そう。「自治体自立塾」は片山県政8年間の記録である。知事就任時、片山さんは三つの事を職員に示したという。一番目に情報公開、二番目には女性登用、三番目は現場主義の3点を徹底するように訓示した。これを基本に鳥取県政に取り組んだ姿勢がよく表れている。

内容的には地方自治について36項目にわたって書かれている。勿論、議員の無理難題を情報公開によって公正に質すことや、2元代表制の中での議会の自立、首長の自立、さらに教育委員会や行政運営など幅広く論説している。

折しも、4月には米子市長選が予定されている。今のところ2人が出馬を表明しているが、是非この本を参考にマニフェストや当選後の市運営に生かしてもらいたいと思う。あるいは片山さんに、アドバイザーになってもらっても良いのではないか。地方自治の民主主義の「手本」である。

評 野口荘太郎