2017年の経済はどう動くのか。16年の総括としてアベノミクスが4年経過しても「デフレ脱却、道半ば」といった大手新聞の見出しが躍っている。

このアベノミクス失敗論は主に、政府・日銀が目標値2%としてきた消費者物価上昇率が達成できなかったことが失敗の大きな要因とみなされている。山陰地区の物価動向(日銀松江調べ)をみても、15年末から16年11月まで毎月0・1%から最大0・8%の連続マイナスとなっている。アベノミクスがスタートして以来、プラス0%台だったのがマイナス圏に落ち込んだため、デフレ感が山陰でも万延し、何となく不況感が漂っている。当然、物価上昇は消費者にとっては嫌なことだが、生産者側からみれば売上拡大、収益拡大に繋がり歓迎すべき経済現象である。

政府は消費税増税をしておいて物価が上昇しないのは企業の賃金が低いからだと言わんばかりに、政府介入で企業に賃金アップを迫っている。賃金は個別企業の財務状況に応じて労使交渉で決まるものだし、地方の中小企業は最低賃金制度を見直す公的機関もある。
しかしである。デフレ脱却は道半ばだが、工業生産高は上昇し、非製造業もそれにつられて、好循環を維持している側面もある。それを裏付けているのが1倍を超える有効求人倍率の推移だ。経済がよくなければとても1倍を維持することはできないことを考えると、アベノミクスの成功部分も見えてくる。

ではアベノミクスの3本の矢の、どの矢が効果的だったのか。それとも3本の矢が総合的に効果的だったのか。
下請工場や関連製造業の多い山陰の製造業にとってのメリットは「トリクルダウン」ではなかったか。特に自動車関連、スマートフォン、電子部品、デバイスなど、海外の経済動向や為替に影響されながらも高水準の生産を維持した。地場の代理店、FC店などの非製造業も製造・販売元のイノベーション(技術革新)でトリクルダウンの恩恵を受けている。

こうした状況下で、大手製造・非製造業の地方の下請地場企業は工場増設や新設が相次ぎ、自社ブランドで全国販売を手がける地場企業も人員増や設備投資を行っている。こうした状況が労働人口の自然減の急激な減少と相まって人手不足を生み出している。

アベノミクスで言えば第3の矢「成長戦略」が最も奏功しているのではないか。しかしこれも当初の成長戦略から「日本再興戦略」「一億総活躍社会」「地方創生」と変容しながらその軸足を少しずつ変化させている。

こうみると、地方経済の動向はどうしても中央政府や大手企業の動向に左右されてしまい、なかなか独自性を発揮して「独立経済圏」を築くことはできないが、しかし、うまく果実を取り込む努力はしなければならない。

例えばインバウンドなどはそれの典型だろうし、「大山開山1300年祭」も情報発信をすればいい結果をもたらすに違いない。

さらに言えば、創業・起業を含めた新規産業の育成、一方で創業20年から30年経ってトレンドについて行けない企業も多くあるが、こうした企業へのテコ入れも必要ではないか。

起・創業と簡単には言うが、それが結実するまでに5年から10年近くかかるケースもある。しかし20—30年の業歴を持つ企業が弱体化したとしても、それまでの顧客や売上高、雇用があり、ノウハウがあることを考えれば、新規性がなくても経営革新的なノウハウの注入で再生することも多くあり、創・起業の倒産リスクを考えればこうした企業の再生に力を入れることも経済活性化の大きな力になるはずである。

今年は米子市長選の年である。誰が市長になるにしても、経済都市活性化に向けてしっかり政策を推進してもらいたい。
(編集長)