内閣府は日本経済成長率が年率換算で0・2%増加としているものの、次期にはマイナス成長に陥るのではないか、と指摘されている。やはり消費税増税が消費に与える影響は大きく、GDPの6~7割を占める消費額が落ち込めば、成長率の足かせになるのは必至だ。したがって実質経済は大きく停滞期に突入することになりそうだ。

政府はこうした状況をみてか、過去最大となる2020年度当初予算案を102兆6600億円(19年度当初比約1兆7300億円増)としている。2年連続の100兆円超えとなる。増加要因は約36兆円にも増大した社会保障費や高等教育・幼児教育・保育の無償化施策が押し上げている。

12月の高橋経営研究会で講演した経済学者の伊藤元重氏は、暗に団塊世代が75歳以上になる22年以降は、社会保障費の急増で「財政破綻も避けては通れない」と、珍しく厳しい口調で講演を締めくくった。

しかし一方で日本の株価が2万円超となり、NYダウも3万ドル台近くまで上昇している。日本などは税収も減退し景気そのものは徐々に厳しくなる、とみられているのに株価だけはどんどん高騰する。この要因は、デフレ脱却を目標に異次元の緩和による通貨供給量の増大で資金が余り、金利が下がるなかで高利ザヤを求めて株や土地投資に向かうことにある。

日米欧は金利下げでデフレ脱却を狙うのだが、実態経済はなかなか反応しない。そうかといって金利を正常に戻すとなると、長期国債の利払いが増えて財政を圧迫する。何かを契機に金利が高騰すれば、それこそ日本経済破綻である。今、米国を始め先進資本主義はこのトレードオフに悩んでいる。

では、このトレードオフをどうすればうまく解決できるのか。そんな容易な解決策はないようだ。

最近、テレビの経済番組を見て驚いたのは「米国のバブル崩壊が近く起こる」という予測番組。今のNYダウ2万8000ドル台は「明らかにバブル状態」と分析し、「いつリーマンショックのようなバブル崩壊が起きてもおかしくない」という内容だ。人類も様々なバブル崩壊を経済してきたが、近くはリーマンショックから10年余りで再び大調整時期に来ている、ということだろう。伊藤教授はバブル崩壊とは明言しながったが「灼熱のリスク」と表現していた。

それにしてもトランプ大統領は「強いアメリカ」「アメリカンファースト」を強調するが、その裏では行き過ぎた資本主義が「灼熱」の口をあけてまっている。

山陰経済の実態は?

では翻って山陰の経済はどうなのか。日本のGDPの1%未満の経済力しかない山陰の経済を、米国経済と比較しても意味がないので、山陰の経済指標をベースに実態を、日本経済の一般論と比較してみたい。

そこで参考となるのが日銀松江が毎月公表している「山陰の金融経済動向」である。このデータの数字をみると、如実に山陰の実態経済が見えてくる。

例えば消費税率引き上げに伴う反動減の実際はどうなのか(本誌2P参照)。個人消費の代表格の百貨店売上高は増税直前の9月は駆け込み需要増となり、特に高額品が売れ3ヶ月ぶりに15・8%(前年同月比)の2桁増だ。しかし10月に入るとその反動でたちまち2桁減の18・2%まで落ち込んだ。量販店、ゲームセンター、家電量販店それぞれの売上高は軒並み2桁台のマイナスである。自動車などは高額なためそれだけアップ、ダウンが激しい。乗用車は9月が20・1%増(同)だったが10月になると、何と36・2%(同)の大幅ダウンである。住宅全体でみると9月は20・1%(同)増だったが、10月に入るとマイナス36・1%(同)である。

他方、設備投資は「高水準」としているが、数字をみると全国ベースでも、山陰でも7月が7・1%、8月33・%、9月41・7%、10月31・3%の4ヶ月連続のマイナスである。とても高水準とは言えない状況が続いている。

この落ち込みを支えているのが公共事業である。       (つづく)