あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。先回の「政経時評」㊤では山陰の経済実態を日銀松江の「山陰の金融経済動向」レポートに沿ってみてきました。㊦ではさらに深読みをしてみたいと思います。

全般的に消費税増税後、そして海外経済減速で山陰の景気は悪化している。これを支えているのは公共事業で、4‐11月までの8ヶ月連続の前年比プラスで推移している。米中貿易戦争で製造業はどれだけの打撃を受けているのか。12月に公表された

「日銀短観」によると、製造業は「最近」ではゼロから一挙に「悪い」超16に落ち込んだ。業種をみても鉄鋼や電気機械はマイナス幅が拡大し、はん用・生産用・業務用機械は「悪い」超に転じ、先行き主力製造業が「悪い」超に陥っている(4P日銀短観参照)。非製造業も先行き「良い」超幅が縮小している。
海外の経済減速は徐々に輸出関連製造業に影響を与えており、このまま行けばリストラまで拡大する可能性すらある。

そして真逆の人手不足の問題だ。有効求人倍率は今のところ1・68倍で、常用労働者数も着実に前年比で1%台で伸びている。残業は全国ベースではマイナス続きなのに、山陰では2‐9月まで連続9ヶ月は前年比プラスで推移している。

ところがである。一人当たりの現金給与総額(5人以上の事業所規模)は、人手不足が深刻化するなか人件費高騰による企業圧迫が指摘されるものの数字上では、4‐8月までは前年比で連続マイナスとなり、9月にようやくプラス1・0%となった。全国ベースをみても、1‐5月までマイナスが続き、この傾向は続きそうだ。こうみてくると、人手不足=人件費の高騰という等式は成り立っていないように思われる。つまり世間で言われるほど賃金は上がっていないことになる。

次にデフレの象徴の物価動向は? アベノミクスの主な目的は「デフレ脱却」だったはずだが、鳥取市、松江市とも一年以上プラス1%台が続いている。10月の松江市ではマイナス0・1%に逆戻りだ。全国ベースでも0%台が長期にわたって続いており、脱却目標の2%には到底及ばない。

一方、貸出約定平均金利水準(長・短平均)は少しずつ下がり続け、直近の10月1・293%(前月比マイナス0・003%P)となっている。これは全国的な傾向でもある。総預金残高(10月)は5兆7000億円で、総貸出金残高(同)は3兆2000億円で完全に預金が上回っており金余り状態だ。12月公表の日銀短観でも金融機関の貸出態度判断は「緩い」超が増加している。また借入金金利水準判断も「低下」超となっている。この「緩い」超は2014年当たりから始まっている。

こうみてくると、山陰のファンダメンタルは弱く、いくら金融緩和してもそれが設備投資に回らない、物価は上昇せず、長期にわたってデフレ状態が続く。しかも海外の経済要因が加わって生産は頭打ちとなり、生産性が向上しない。唯一経済効果をもたらしたのはインバウンド観光だけではないか、と思われる。しかしそれもソウル便やDBSの運休で効果が消失してしまっている。

本紙調べの年間利益2千万円以上ランキングでは、2018年は230社あったが、19年は244社に増加している。確かに利益を出す企業もあるところをみると、企業間格差が潜伏しているのかも知れない。

したがって全般的にはリーマンショック後、少しは良くなったものの依然としてその厳しさを引きずっているのが「山陰の経済」と言えそうだ。

2020年に入りデジタル経済に突入し生産性を求められる状況の中で、米国のバブル崩壊、あるいは韓国経済の破綻などなど、海外では不安要因がいくつもある。要注意だ。