今回は6月8日号の1面トップで取り上げた「大学等の就職動向・県外就職率68%」についてもう少し深掘りしたいと思います。
本当に世間は人手不足。鳥取県の有効求人倍率は1・78倍(4月)。全国版でも1・63倍です。特に地方圏は少子高齢化が進み、18歳以降の生産年齢層が減少しています。こんな状況の中で、山陰地区に本部を置く大学等の就職動向は6大学等(4大生3、短大生2、専門高生1)の県外と県内就職の割合をアンケート調査したものです。
結果、総就職数の2504人のうち、県内就職者数は800人(約32%)、県外就職者数1701人(約68%)で、ざっと3対7の割合で、県外流出が多くなっています。
問題は「人手不足」状態ですから、これら高度技術者の県内就職を促進し地元企業に就職して定着してもらわないと困るわけです。でも7割近くが県外就職をしてしまう現実をみると、何のための地方大学かと疑問がわきます。地方で優秀な学生を育て、三大都市圏に流出させてしまう―。こうなると、もうUターンを期待しても帰って来ません。
他のアンケート調査によると、県外就職の動機は「自分の腕を試してみたい」「魅力ある企業が多い」「給料が高い」の順になっています。この企業間格差が地元学生の県外流出の大きな要因になっているようです。
今後、IT、IoT、MIなどが地方でも進んでくればIT関連、高度な知識を必要とする管理的・専門的・技術的分野のニーズが高くなるのは必至です。それだけに地元大学等に対する期待が高まる、ということではないでしょうか。
ところでもう一つ注目して欲しいのは、県内出身者(地元出身者)の動向です。総じて県内出身者は約70%(637人)が地元企業に就職します。県外は30%(275人)です。勿論、大学の種別によってこの比率は随分と違ってきます。4大生は割と地元志向が強く、歩留りが約70%ですが、これが米子高専になると、86%(131人)が県内出身者で占めているのですが、県内出身者の地元就職数は15人(11・4%)と極端に落ちます。その分だけ県外就職者数が116人(85・9%)にもなり、技術者ニーズに対応して三大都市圏に流出してしまっているようです。
これが短大になると、学科構成が地元密着(保育料、看護料など)ということもあって、鳥短の場合、244人の就職者数に対して県内出身者は196人(80・3%)を占め、県内就職者数は177人(95・6%)と多くなっています。
これは島根県立大学短期大学部も同じような傾向があって、就職者数203人あって、地元出身者は約70%を占めますが、そのうち119人(86%)が県内就職です。全体では7対3の割合で県内就職者が多いのですが、さらに県内出身者の90%近くが地元に残ってくれます。
地元大学で地元出身者の地元就職を推進する政策を今一度、官民ともに一緒になって考えてみれはどうでしょうか。
確かに地元は魅力ある企業は少なく―でも最近は先端企業も相当誕生していますし、給料も低いですが、地方愛としてのアイデンティティを醸成することではないでしょうか。

(山陰経済新聞社主幹・野口荘太郎)